調理した料理は、すぐに熱々の鉄板へ。鉄板は熱をよく伝え、しっかり蓄える性質があるため、料理が冷めにくく、最後の一口まで温かさが続きます。高温の鉄板では香ばしい焼き色と香りを生むメイラード反応も起こり、味わいに深みが加わります。見た目の演出ではなく、できたての美味しさをそのまま届けたい。その想いから、この提供方法を開店当初から変えずに続けています。

チキン南蛮をはじめ、主力の料理はすべて店内で仕込んでいます。タルタルソースや下味付けなど、細かな工程を自分たちの手で行うことで、味の安定と一貫性を保っています。既製品に頼らず、肉の成形も一つずつ手作業。丁寧に丸めることで、加熱しても肉汁が逃げず、ふっくらとした食感に仕上がります。毎日の仕込みの中で食材の状態を確かめながら、手仕事ならではの味を積み上げています。

チキン南蛮、唐揚げ、ヤンニョムチキン──どれも低温と高温の二度揚げで仕上げています。最初は低温でゆっくり火を通し、旨味と水分を中に閉じ込める。最後に高温でカラッと揚げて、外側の香ばしさを引き立てる。この温度差の積み重ねで、外はカリッと、中はふっくらジューシーに。鶏の味をいちばんおいしい状態で届けるための、欠かせないひと手間です。

流行を追うより、本質に向き合うことを大切にしています。手仕込みの工程、二度揚げ、鉄板での提供――そのすべては味の確かさを支えるためのものです。見た目や派手さではなく、一口目で「この味なら納得」と思ってもらえること。それが鶏に金棒の考える“価格に正直な価値”です。時代が変わっても、誠実に作られた料理だけが最後に残る。そんな当たり前を、これからも大切にしていきます。